遺伝子間のエピスタシスが方向性選択への応答性に与える影響

A. J. R. Carter, J. Hermisson & T. F. Hansen (2005) The role of epistatic gene interactions in the response to selection and the evolution of evolvability. Theor Popl Biol 68:179-196.

 遺伝子間のエピスタシスは方向性選択への応答性に影響するらしい。どのようなエピスタシスでも良いというわけではなく、特にその形質に影響する遺伝子間のエピスタシスの効果が全体的に一定の方向に揃っていること(Directional epistasis)が方向性選択への応答性に大きな影響を持つそうだ。正のDirectional epistasis(遺伝子が互いの効果を強めあう)を持つと選択への応答性を増大させ加速的な進化をもたらすのに対して、負のDirectional epistasis(遺伝子が互いの効果を弱めあう)を持つと方向性選択に対してあまり応答しない。これはDirectional epistasisが集団の相加遺伝分散に影響を与えることにより選択への応答性にも影響を与えているそうだ。結果として遺伝子間のエピスタシスは進化能力に大きな影響を与えうるらしい。また、負のエピスタシスにより方向性選択に対する応答性が低いことはepistatic constraintなどと呼ばれる。
 
 ふーむ。理解するのが大変だった。Higher-order epistasisってなんだよ、と思ったら何のことはない多遺伝子座間のエピスタシスのことでした。しかし、進化学の中でも最もディープな領域の一つに、どうも足を踏み入れなければならないらしい。面白そうではあるんだけど、迷宮の中に入ってゆくような予感がするなぁ…。面白恐ろしい感じ。むぅ、迷わないようにしっかり勉強せねばならぬ。頑張れ俺。