蝉しぐれ

 藤沢周平の作品を初めて読んだ。割と好きな感じだった。東北の人と風景の描写に愛が感じられる。
 ついでだったので映画版「蝉しぐれ」も借りてきて観た。原作を読むとどうしてもイメージが先行してしまうけれど、風景の描き方は非常に良かったと思う。セットもかなり良くできていた、作ってから1年程風雨に曝して痛んだ感じを出したそうだ。
 しかし、映画の演出にはちょっと違和感を感じるところもあった。「蝉しぐれ」には剣術アクション的な側面もあり、小説で剣術は合理的な扱われ方をしていたと思うのだけど、映画では幻術的な要素を含んでしまったのが悲しかった。詳しくはわからないけれど、剣術には非常に高度な段階で神秘的なものがあるのかもしれないけれど、本来は剣を使う技術としての合理的なものなのではないかと思う。 また、少年の成長をもっと丁寧に描いて欲しかった、映画ではその辺は吹っ飛ばして恋愛の方にフィーチャーしたらしい。剣の上での成長と人間的成長の重なりは読みどころの一つだと思うのに…。
 まぁ、演出は僕の好みではないけど、絵的には良い感じでした。

 そういえばいまNHKでも蝉しぐれのドラマをアンコール放送でやってるのね…。見逃してるよ…。ショック。明日の放送で最終回だよ…。