優性劣性

 下の記事と同じ号に、アブラナ科のカブラでの自家不和合性の表現型において優性劣性を決定するメカニズムの論文*1があったので、ついでにメモ。(以下は僕がさらっと論文を読んだだけの理解なので、間違っているかもしれません。)

Abstruct : http://dx.doi.org/10.1038/ng1734
 カブラでの自家不和合性の表現型は、SP11という遺伝子の5種類のアリルの組み合わせによって決まっているらしい。SP11という遺伝子の5種類のアリル、ここでは仮にA、B、C、D、Eとすると、その優劣はA>B>C>D>E(優性>劣性)となっている。例えば、遺伝子型ABの表現型はAで、今回は自家不和合性の話なので、表現型Aの個体は、同じ表現型Aの個体とは交配できない、という事なのだろう(多分)。で、問題はこれらA-Eのアリルの優劣がどのように決まっているのかがわかっていなかったということだそうな。
 これまでのアリルの優劣に関しては、野生型アリルと機能欠失アリルの間に優劣が生じるというのが良く聞く話だった。多くの機能欠失変異は劣性というのは割と一般的なお話だと思う。(ちらっと読んだ限りでは、下の耳あか乾性もABCC11なる遺伝子の機能欠失アリルのようだ、多分おそらく)
 つまり、今回の研究で重要なのは、機能欠失ではないアリル間で優劣関係の生じるメカニズムの一つを明らかにしたということのようだ。フームそうか。で、その優劣が生じるメカニズムとは、SP11ヘテロ接合体においては、劣性のアリルの方が「なぜか」遺伝子の制御領域にメチル化を受けて発現が抑制されるのだという。ふーん。なんでですかね?

*1:Dominance relationships between self-incompatibility alleles controlled by DNA methylation, Hiroshi Shiba et al., Nature Genetics, Published online: 29 January 2006 | doi:10.1038/ng1734