ゲノムネットワーク & 複雑ネットワークの科学

ゲノムネットワーク 監修:林崎良英 編集:鈴木治和、河合純 共立出版

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4320056329/qid=1134641598/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-4250270-4578610
 生協の書籍部で購入。生物の遺伝的ネットワークのさまざまな解析法が書かれている。現在、実験的あるいはバイオインフォマティクス的なアプローチにより遺伝的ネットワーク解析がどのように進められているのかを大まかに知ることができそうだ。さまざまの新規な手法が開発されているところを見ると、いかにも発展途上という感じである。英語と日本語のチャンポンな文章、英語の略号の連発は甚だしいが、新しい分野故に仕方がないのだろう。しかし、この本は実験、バイオインフォマティクスの記述が中心であり、理論に関する記述はない。
 ネットワークのような複雑なシステムをそのまま理解するのは困難なように思う。そのために、ネットワークシステムの動態や進化を記述するには、比較的単純な理論モデルを用いることが有効だろう。ネットワーク研究の理論的アプローチに関する本としては、以前にも紹介したが、次の本がお勧めだ。

複雑ネットワークの科学 著:増田直紀、今野規雄 産業図書

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4782851510/qid=1134644733/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/250-4250270-4578610
 これまでのネットワーク研究の理論の流れを初学者にもわかりやすく解説している。数式は出てくるが、必ずしも数式を理解しなくても読ことができるように書かれている。数式も大学理系程度の数学力があれば理解することはそれほど困難ではない。また、この本は参考文献が充実しており、興味を持った読者がさらに学ぶ機会を手助けしてくれる。紹介されているいくつかの有名なレビュー論文を読めばさらに広い知見を得ることができるでしょう。ネットワークを研究しようと思う初学者が最初に読むのにふさわしいのではないでしょうか。