進化学会2010

 東工大で開催された進化学会に参加してまいりました。シンポジウムをひとつも聞きに行かなかったのは初めてでした。シンポジウムには現代進化学のホットトピックを期待したいものです。一方ワークショップでは生態適応とその遺伝的基盤、進化発生、オミックスデータ解析など最近の流れに沿ったものが多くそれなりに楽しむことができました。
しかし、個人的に最も興味があるシステム生物学的視点にたった研究はまだ殆ど無いようでした。形質発現システムはゲノムの進化と表現型の進化をつなぐ上でとても大切だと思っています。遺伝子の進化速度や重複しやすさは、その遺伝子が形質発現システム内での機能や他の遺伝子との分子的相互作用に依存していますし、形質が環境変化に対してどのように応答するかは形質発現システムの性質に依存しているはず。つまり、形質発現システムを考慮することでゲノムと表現型進化の両方を統合的に理解することができると考えられるからです。今回の学会で僕が聞いたものの中では遺伝研の佐藤行人さんの発表がそのような視点をまさに示していると思い非常に興味深かったです。鈴木 誉保さんと金子邦彦先生の生命システムのやわらさのワークショップも同様に面白かったのですが、自分の口頭発表と時間枠がかぶってしまい、途中の話が聞けなかったのが非常に残念でした。
 肝心の自分の発表の方は時間オーバーしてしまい今までで最もひどい発表をしてしまいました。せっかく結果を削ったのに、直前にイントロを増やすという愚行を犯してしまい。イントロに時間がかかりすぎてその後が駆け足になってしまい、結論も言っただけに近いものがありました。正直だいぶへこみました。本当に反省する必要があります。ぼくの研究自体についても言えるのですが、言いたいことを簡潔にまとめることがうまくできないのが最大の問題なのです。もっともっとトレーニングしないといけないです。
 来年の進化学会はSMBEとの共催で京都です。とても楽しみです。ゲノム-生体システム-表現型進化の統合がテーマのワークショップでも企画できたら面白いな。