WWDC 2009

 なかなか興味深い発表だった。
 Snow LeopardことMac OS 10.6ではシステムの隅々まで調整をほどこしてパフォーマンスが1.5-2.0倍も向上するそうだ。現状でもずいぶん使いやすいと思っているけど、細部の完成度が高い道具は使っていて気持ちが良いので期待したい。あと微妙なところでは、OSが使用するディスクの容量が6GBほど減少するそうです。これはHDDには関係ないですが、容量の大きなSSDがとても高価な現状では結構重要ですよ。僕の場合サブマシンだった64GBのSSDを入れたMacBookがメインのiMacよりもパフォーマンスが良いのでメインマシンと化しつつあるのです。
 調整の他にいくつか新機能もあるのだけど、個人的に期待しているのはopenCL。これは通常は3Dゲームや動画なんかの処理をするためのGPUを普通のアプリケーションの処理にも活用するための技術。GPUは処理能力がとても高いのでopenCLを利用したアプリケーションではパフォーマンスが劇的に向上することが期待されるのです。これは科学計算の世界に大きなインパクトを与える。分子運動とかノイズなどの自然界に存在する微妙な、しかし重要な現象を組み込んだ研究をできるようになると思う。極端なことを考えると細胞内のタンパク質分子をモデル化して細胞をシミュレートしさらにその細胞集団を考えるなんてことも夢ではないのではないか。64ビットOSのおかげでメモリーも160億ギガバイトとかいうわけのわからない量が使えるようになるしパーソナルスーパーコンピュータ時代の到来を予感させますな。ちなみにopenCLは標準化されオープンソースで公開されるのでLinuxでもすぐにサポートされるはず。
 新しいiPhoneiPhone OS 3.0 も発表された。こちらもなかなか。これまでのiPhoneは処理能力がいまいちな感じがあるのだけど、あたらしいiPhoneではパフォーマンスが2倍ほどになる。印象的だったのはカメラにオートフォーカスがついたこととビデオ機能がついたこと。オートフォーカスがついたと言っても、ふーんと思うだけなんだけど、目からウロコだったのは、カメラで画面に写った対象にタッチするとそこにフォーカスが合うのだ。これは便利。普通のカメラにもない機能ですよ。ビデオも撮るだけなら、ふーん、だけどiPhoneからYouTubeにそのままアップロードできるというところがミソですな。もっとも旧iPhoneユーザーである僕には新iPhoneはあまり関係ないんですが...。ちなみに先生は新iPhoneに乗り換える気マンマンみたいですけどー。
 iPhone OS 3.0 の方は旧iPhoneにも提供されるので僕にも関係ある。注目すべきはiPhoneを使ってノートPCをインターネットに接続させるテザリングを正式にサポートしたこと。しかしソフトバンクがこれを認めるかどうかがまだわからないが、これはぜひ対応してほしいところですね。他にもコピペとかウェブサイトのユーザー名やパスワードの自動入力とか、いろいろあるみたいですな。
 いやー、Mac OS XもiPhoneiPhone OSも製品としての魅力が確実に上がっている。相変わらずAppleは時間をかけて製品の完成度を高めてゆくのがとてもうまい。ジョブズはいませんでしたが、将来性を感じる発表でしたね。

 なんか字面だけ見てるとまるでサンプランシスコに行ったみたいだな。