ネットワークの構造とダイナミクス

 ネットワーク研究会は面白かった。分野は異なるけれども生物のネットワークと関わる研究をしている人たちの話しを聞いて互いに議論をしました。僕の研究も割と面白がっていただいたみたいで嬉しかったです。発表をうまくやれるか不安だったのですが、なんとかこなすことができた(のかな?)。
 今回の研究会をオーガナイズしてくださった。望月さんは複雑な遺伝子ネットワークから、細胞内で遺伝子発現の定常状態を作り出すのに必要な部位を、「遺伝子は同一の入力に対しては同一の出力を出す」というごく単純でおそらくまっとうな原則を適用することにより、抽出した。このような発想はいかにも「数理的」ですごい。
 望月研でPDをしている石原秀至さんは、Feed Forward Loop(FFL)と呼ばれる生物のネットワーク中によく見られる部分構造(Network motifという)の役割と、FFLが組合わさることで、ショウジョウバエの初期発生におけるgap geneの発現パターンを作り出し得るということを示した。かなり簡単なメカニズムで発現パターンができうるあたり、Turingの反応拡散系の話を初めて聞いた時のように目からウロコが落ちた。他にも面白そうなネタがあったらしいのですが時間の都合で聞けなかったのが残念でした。
 他にも、バイオインフォマティクスのアプローチから遺伝子機能予測をするために、代謝ネットワークの情報を用いたアイディアなど興味深いお話をいろいろと聞くことができて大変勉強になりました。また、多くの方達とお知り合いになることができたのも良かったです。
 研究は論文を読むの大事ですが、やっぱり人から話しを聞いたり議論したりすることも欠かせないのだということを再認識させられました。